イエスの登場

ユダヤ教の異端として警戒されたイエス

イエスとユダヤ教

今でこそ、キリスト教は世界で最も多くの人が信仰する宗教として知られていますが、もともとはキリスト教はユダヤ教の一部であったことは忘れられがちかもしれません。

イエス・キリストこそ、キリスト教の教祖のように思っている人もいるかもしれませんが、イエス・キリストが登場したときは「キリスト教」などという宗派はなく、はあくまでもユダヤ教をベースとした民衆を癒すような思想を提唱したにすぎないのです。

ユダヤ教徒のなかにはもともと「いつか救世主があらわれて自分たちを救ってくれる」という予言が信じられていたため、イエス・キリストの登場こそが救世主の登場として受け取られたのでした。もっとも、すべての人がイエス・キリストを救世主としてみなしたわけではなく、ユダヤ教の祭司の中にはイエス・キリストを偽物の救世主として警戒するものも大勢いました。その結果、イエス・キリストは処刑にかけられてしまうのです。

イエスの死とキリスト教

十字架にかけられたイエスの姿は、いまやキリスト教のシンボルのように教会や宗教画、ロザリオなどで見ることができますが、イエスの死は人々の罪を背負ったものとして考えられています。そして、イエスの死後、弟子たちがイエスの教えを各地に広めることによって、現在のキリスト教が誕生することへとつながっていったのです。

とはいえ、キリストの死後に「キリスト教」として広められた宗教は、ユダヤ教が中心の世界においては単なるちっぽけな新興宗教の一つにすぎませんでした。特に、熱心なユダヤ教徒にしてみれば、キリスト教はユダヤ教から発生した異端の宗教である…という認識が強く、イエスの死後もキリスト教に対しての迫害が強く行われていました。

当時、ヨーロッパを支配していたローマ帝国も、キリスト教については批判的な立場をとっており、皇帝・ネロの時代に起きたローマの大火の際には、キリスト教徒が大火の犯人に仕立て上げられるという事件も起きたほどです。